派遣前訓練in二本松⑨ご挨拶②

日記

 僕にとって東宮御所は、もちろん初めての訪問で未知の世界。セキュリティーがすごく、天井は我が家の5倍ぐらい。見えるもの全てが一級品なのだろう、細かい装飾が施されている。心なしか、中の皇太子さまの取り巻きは、みんな勝さんスタイルで笑いそうになる。広間に通され、失礼のないよう注意事項説明を聞く。ご挨拶は、派遣国で分けられ、それぞれのグループを皇太子さまが回られるとのこと。別にこちらが何かするわけではないが、少しずつ緊張してくる。いざ、皇太子さまが遠くからお見えになると、鼓動が急に早くなる。僕は、なるべく目立たぬよう、ニーチェの後ろに場所取り。陰から状況を観察していると、皇太子さまは、各派遣国グループを回りながら、その中の一人と会話をし、次の派遣国に移っている様子。フィリピンメンバーは総勢12名。ということは12分の1。しかも、自分はニーチェの後ろに隠れている。こっちに来られる可能性は限りなく低い。

そして、いよいよ皇太子さまがフィリピングループの所へ来られる。自分の所には、来ないと思っていても心臓の音は、狂ったように強くなる。そして、皇太子さまはフィリピングループのもとへ。みんなソワソワしている。一歩一歩、近づいてこられる。そして何を思ったのか、僕の前で歩みを止められた。想定外の出来事に、吐き気さえする。僕は皇太子さま(日本の象徴)と一言二言会話をした。

皇太子さま「溶接を教えに行かれるのですね。溶接は目が大切かと思いますが、日頃から何か気を付けておられることはありますか?」。内心、特に気を付けていることはなにもない、意識したこともない。でも何か答えないと。。。僕「はい、日頃から寝る前は目薬をするようにしています。」。。。まさかの皇太子さまに嘘をついてしまった。皇太子さま「そうですか、フリピンに行かれてもお体に気を付けて活動して下さい」一同、礼。

皇太子さまが行かれた後、周りのみんなに、大丈夫かと心配された。どうやら、顔が真っ赤で今にも首が取れそうだったそうだ。僕は内心、会話しているとき、皇太子さまに白目をむいていなかったかが心配だったが、それは無かったみたい。心底良かったと思った。振り返ると、こんな若造に声を掛けて頂いて感謝である。嘘はついてしまったが、悪いウソではないと信じたい。

追伸、七三分けの勝さんも、皇太子さまと会話が出来たとのこと。

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